2015年8月15日(土)~16日(日)
群馬県側の尾瀬沼玄関口である大清水から尾瀬沼に入り、黒岩山、鬼怒沼山(きぬぬまやま)、鬼怒沼湿原、物見山と周って大清水に戻るテン泊登山に行って来ました。
8月16日(土)
今年のお盆休みは前半天気に恵まれず、天気予報を眺めながら14日(金)~16日(日)の2泊3日で中央アルプス木曽駒~空木岳縦走を計画しましたが、14日の天候が怪しくなり、土日の1泊山行に変更。
いろいろ悩んだ挙句、大清水から尾瀬沼に入り、湖畔の尾瀬沼キャンプ場にテントを張って燧ケ岳をピストンしてくる優雅な尾瀬お楽しみプランに決定!
ネットで見ると、尾瀬沼キャンプ場のテントサイトは区画ごとにウッドデッキが敷いてあり、なんと尾瀬沼ヒュッテでお風呂にも入ることができ、また2日目の帰路は2時間半くらいと、悠々旅ができそうです。
ただし、キャンプ場は要ネット予約となっていますが、予約受付は前日の日中に終わっており、夜中となっては予約状況さえわかりません。
「予約に空きがあれば到着順に張れる!」との情報に望みを賭け、大清水に向かいました。
AM4:oo過ぎ、まだ真っ暗な夜明け前、大清水に到着。
大清水休憩所前のアスファルト駐車場にはまだ空きがあり、車を停めて準備をします。
トイレに寄りAM4:40、辺りが明るくなり始めた頃、ヘッドライトを点け登山口を出発。
まずは一ノ瀬まで1時間、綺麗に整備された小砂利の林道を進みます。
歩き出して10分もするとヘッドライトが不要となり、林の隙間からのぞく青空と涼しい林道に気持ちが高まります。
半分程過ぎた頃、大清水5時始発の乗合いタクシーが2台、追い抜いて行きました。
一ノ瀬まで700円で乗せてもらえるようです。
やがて一ノ瀬に到着です。
少しベンチで休憩し、ここから登山道に入ります。
沢沿いの気持ちよい道をしばらく進むと、水場マークの岩清水に着きます。
少し汗ばんだ手や顔を洗い、喉を潤します。
冷たくとても美味いのですが、手が痛くなるほどの冷たさでした。
ここから沢を離れ、15分程右岸の急斜面を九十九折に尾根まで上がります。
尾根に出ると上りの緩やかな木道となり、やがて三平峠に着きます。
ここから下りの緩やな木道を進むと、尾瀬沼が見えてきました。
大清水から2時間強で尾瀬沼に到着です。
テント場確保のため、休憩を短めに取り先を急ぎます。
綺麗な尾瀬沼と山頂に少し雲が掛かった美しい燧ケ岳を眺めながら、湖畔を囲む遊歩道を歩きます。
あんな低いところに雲が!
景色を堪能しながら歩くとすぐに尾瀬沼ヒュッテに着きました。
小屋に入り、祈る気持ちでテント場の空き状況を確認すると、結果はなんとNG・・・
かなり期待して来たので、とても残念でした。
外のベンチでしばし悩みます。
まず考えたのが、テン泊装備をこの周辺にデポしての燧ケ岳ピストン日帰り。
でも今日は既にテン泊気分満々なので、すぐに却下。
少し遠くなるけど、見晴テント場での幕営+燧ケ岳登頂のBプランを練ります。
あまり遅くなると見晴も一杯になる危険がありますが、燧ケ岳をパスして直に向かうと時間が余り過ぎるし、明日の天候次第では燧ケ岳なしの尾瀬ぶらり旅になってしまい、少々物足りない感じ。
悩んだ挙句、燧ケ岳山頂から見晴へ下りられる見晴新道は、地図に「危険」や「廃道が進んでいる」旨が書かれていますが、これを試して無理そうだったら大人しく日帰りで帰ろうと決定し、長英新道の登山口へ向かいました。
長英新道の登山口に着くと、道標の下に張り紙があり、「見晴新道は先の台風により登山道が消失したため立入禁止」のようなお知らせがあり、今日二度目の残念です。
ここでふとCプランが頭をよぎりました。
昨夜ネットを徘徊している時にたまたま読んだ記事を思い出しました。
尾瀬沼から東に県境を辿り黒岩山まで進み、そこから南のコルに下った水場近くのテント場にて露営し、鬼怒沼山を経て大清水に戻る周回ルートの記事です。
下調べが少なく情報不足ですが、このルートは山と高原地図で実線で書かれていることや、他の山岳地図でその水場が幕営適地と書かれていた情報を思い出し、Cプランに決めました。
燧ケ岳はきっとまた来るけど、このルートはこんな機会がないと歩くこともないだろうと。
早速、尾瀬沼ヒュッテに戻りました。
尾瀬沼第二公衆トイレ前で給水し、おにぎりを食べ、いざ黒岩山へ!
まずキャンプ場の中の木道を進みます。
サイトには昨日から張られていると思われる、雨に濡れたテントが、サイトに半分ほど。
ちょっと羨ましく思いつつ木道が終わると、湿った土の登山道が始まります。
昨夜雨が降ったであろう登山道は、かなりグチャグチャで、道筋はっきりしているものの、新しい踏み跡はなく、歩き辛い感じです。
先程まで沢山観光客やハイカーがいましたが、この道に向かう人は非常に少ないようです。
樹林の中を40分ほど登るとやがて下りになり、沼田街道への分岐を過ぎるとすぐ、小淵沢田代が現れました。
突然視界が開け、心躍ります。
なんとも心地よい場所です。
少し遠くに日光白根山がそびえています。
その手前左が鬼怒沼山と物見山でしょうか。
女性の先客が一人だけいました。
木道は一部、川のように水が流れています。
湿原に別れを告げ、先へ進みます。
20分ほどで、大清水への分岐。
所々、小川のせせらぎのように、道の中央窪みを水の流れる潤った森の中の登山道を緩やかに登ると、また急に視界が開けます。
送電線が左右に走って、ジジジジと電気の流れる音がします。
「送電線下は登山道にあらず」と書かれていました。
送電線をくぐった所で一休みし、先へと歩きます。
袴腰山を北に巻ながら、狭いトラバース道を登ります。
時折、北側の山々がのぞけ、日陰の涼しい快適なトレッキングです。
やがて下りになり、鞍部に到着です。
地図では赤安清水の水場マークがありますが、水場らしき物は見当たりません。
しかし、まだ水はたっぷりあるので、それ以上探すことなく休憩を取り、赤安山へと登り始めました。
すると数分登った所に、赤安清水の標識が!
テントを2張りできそうな平地がありました。
この時点で11時、当然先へ進みます。
ここから黒岩山分岐までCT2時間30分。
アップダウンを繰り返し、ひたすら森の中を歩きます。
時々展望がありますが、やや歩き辛い登山道に飽き始め、体力も減ってゆき、休憩の回数が増えます。
やがて黒岩山の登りに差し掛かると、前方からご年配のご夫婦が来ました。
小淵沢田代以来の人との遭遇です。
少し話をすると、数時間先に先行者が一人いらっしゃるとか。
なんとも静かなルートです。
13時過ぎ、黒岩山への分岐に到着。
少し手前から、左へ入る踏み後を見逃さないよう注意を払い歩いていましたが、分岐は明瞭で道標もありました。
分岐にザックをデポして山頂に行ってきます。
山頂までは地図で破線となっており、実際難路です。
藪の中、薄くなってゆく踏み跡とテープを頼りに山の東斜面を登ってゆきます。
山頂に近づくにつれ藪は濃くなり、藪を掻き分け稜線に出ました。
地図では東側からピークに直登していますが、踏み跡を辿ったら100mほど南のピークに着いたようで、山頂を示す物はなく、北に少し高いピークが見えます。
笹を掻き分け北のピークへ向かうと、ザックをデポした分岐から30分、黒岩山の山頂に出ました。
この山は、群馬・栃木・福島の三県境で、県境歩き愛好家には人気があるようです。
見晴しは抜群のほぼ360度。
上は燧ケ岳と歩いて来た山々。
上の写真はこれから進む尾根と、中央奥に頭を覗かせているのが鬼怒沼山(左)と物見山(右)と思われ。
ここまで来れば今日はもう下るだけなので、しばらく絶景を眺め楽しみました。
そして少々名残惜しいですが、下山。
下り始めて5分ほどすると、違和感のある音が聞こえます。
立ち止まり耳をすませると、ラジオの音が近づき、前方の藪から男性単独登山者が現れました。
ザックは小さなデイバッグ。
話をすると、尾瀬沼から来てこの後尾瀬沼に戻るとのこと。
明るい内に無事戻れたでしょうか?
しばし話し、分岐へ戻ります。
ザックを回収し、鞍部へ下ります。
途中水がわずかに流れる広場に出ました。
幕営された痕跡があります。
ここでザックを降ろし一休み。
水をすくって顔を洗うと、なんだか泥臭く、飲むのは困難です。
そこから先、倒木の多い広めの尾根を進み、P2043を過ぎて鞍部に着きました。
鞍部は倒木だらけですが広く、幕営できる平地は沢山あります。
「水場は鞍部から少し登った先にあった」とのネット情報をかすかに思い出し、また地図でもそう見えるので先へ向かうと、15時過ぎに黒岩清水に到着です。
ここには看板があり明瞭です。
登山道の右下から水が湧き出ていました。
水場の前に1張り分のテントサイトがあり、今日のねぐらをここに決め、設営しました。
(後から気付きましたが、この20m奥に更に広くて平らに整地されたスペースがありました。)
湧き水はとても冷たく美味しく、この水で沸かしたコーヒーも最高です。
森の中は涼しく風はなく、時折遠くに聞こえるジェット機の音以外、虫の音と小鳥のさえずりしか聞こえてこない、とても静かで穏やかな場所です。
昼寝してラーメンを食べ、テント内で寝転び、木々の間からわずかに見える青空を眺めながら、まったり休みました。
8月16日(日)
夜は冷え込むことなく、モンベルのシュラフ♯3を広げて掛け布団にしていましたが、適温で熟睡できました。
夜中にテントに当たる雨粒の音で一度起きましたが、朝にはきっと止んでいるだろうと、あまり気に留めず朝を迎えます。
目が覚めると、まだ雨が降っている模様。
外を見ると、さらにガスっていました。
今日は曇り時々晴れだったはずなのに、突如雨中の苦行撤退戦となり、かなりテンションが下がりましたが、雨具を身に着けテントを畳みます。
立つ鳥跡を濁さず、幕営の痕跡を消し去りAM6:30行動開始。
なお、この地に到着してから出発するまで、ここを通過した人はいませんでした。
始めは広い尾根を緩やかに登ります。
倒木がとても多く、下を潜ったり上を乗り越したりしますが、しばしば何重にも積み重なった倒木に正規ルートを遮られ、大きく迂回を強いられます。
この周辺は迂回の踏み跡もあちこちにあり、ピンクテープを頼りに注意して進む必要があります。
特に反対周りに歩く場合は、広い尾根を下ることになるので、道に迷って支尾根に入らないよう、細心の注意が必要と感じました。
やがて登山道は尾根の右(西)斜面をトラバースするようになり、緩やかなアップダウンダウンを繰り返しながら、鬼怒沼山手前で鞍部に急降下します。
この辺りは笹薮が険しく、藪こぎしなが踏み後を辿ります。
登り返すとやがて鬼怒沼山分岐に到着です。
ここまでに雨は止み、少し青空も見えて来ました。
ザックをデポし、山頂に向かうと10分ほどかけ、8時半に鬼怒沼山のピークに着きました。
山頂は狭く展望は僅かですが、日光白根山が間近に見えるが救いです。
面白味に欠けるので分岐に帰り、次の目的地である鬼怒沼巡視小屋に向かいます。
この道中、今日一人目の登山者に会いました。
今日は日光澤温泉から尾瀬沼に向かうとのこと、宿の人に本コースは一人で行くのは危険だからと引き止められたことなどを聞き、登山道の状況を伝えて別れました。
その後、鬼怒沼巡視小屋に到着です。
中は窓が無いため真っ暗ですが、中央にコンパネが2枚敷いてあり、二人までは快適そうです。
コンクリートの地面も入れると7~8人くらい泊まれる感じ。
小屋で雨具を脱ぎ、小屋前の木道を進むと、突然視界が開けます。
鬼怒沼湿原です。
ここは標高2020mで日本で一番高い高層湿原とのこと。
(ただし、苗場山や平ヶ岳の方が高いといった情報や、そもそも高層とは標高のことでなく泥炭層の厚みのことであったりとか、真偽はよくわかりません。)
右奥遠くに燧ケ岳と、左手前にこれから向かう物見山。
湿原を眺めながらベンチで遅めの朝食をとり、1時間ほど滞在しました。
湿原の端から物見山を経由して大清水に帰ります。
小さな沢を二つ跨ぐと登りになり、30分で物見山に着きます。
この登りで今日二人目の登山者とすれ違いました。
晴れていれば、木々の間から多少の展望がありそうです。
一服して出発。
しばらく非常に急な尾根を慎重に下ります。
岩壁のような大きな危険はありませんが、前方に転ぶとかなりの距離を転がりそうな急尾根です。
ぐんぐん標高を下げてゆき、時々視界が開けると、下がっている実感が湧きます。
大清水らしき場所が見えてきました。
さらに下ると沢の音が近づき、やがて湯沢出合に着きました。
沢にはユニークな橋が架かっており、それを渡ります。
けれど橋は中州までで、残り半分は飛び石で渡ります。
今回は靴底を濡らす程度ですみましたが、大雨で増水すると恐らく渡れないでしょう。
しばらく歩くと物見橋。
この先、車が走れる林道を50分歩きます。
ぬかるみや水溜りのある林道に飽きてくると、道端に菜の花?
草花に疎いので名前はわりませんが、菜の花ではないようです。
飽きが限界に近づいた頃の13時、大清水に無事帰って来ました。
休憩所前の受付で2日分の駐車料金(500円/日)を支払い、着替えてから休憩所でカレー(650円)を注文しました。
テーブルで待っている間、なにやら御爺さんと係員が揉めています。
御爺さんが、通行禁止となっている一ノ瀬への林道に自家用車で入ろうとしている様子。
その後カレーを食べていると、どうやら係員の制止を無視して一ノ瀬へ行ってしまったようです。
満腹になった所で帰路に就くと、雨が降ってきました。
ギリギリ降られずラッキーでした。
【補足】
今回のコースは「山と高原地図」にて実線(一般登山道コース)となっていますが、破線(難路)に近いと思います。
山奥の携帯圏外エリアであり、お盆休みの土日でさえ人通りが少ないことから、平日は誰も通らない日も多いのではないかと想像されます。
捻挫等のトラブルにより動けなくなっただけでも、大事に至る危険がありますので、特に単独で行かれる方は充分に検討し、慎重に行動されるべきと考えます。
はじめまして
「黒岩山」山頂直下でお会いした者です!
下山は6時15分くらいに「大清水」に到着しました
(ぎりぎり、明るかったです)
思いも寄らない「黒岩山」の眺望でしたね
苦労して、登った甲斐がありました
無事に「物見山」経由で下山!お疲れ様でした
あの辺りでの、1人でのテン泊・・・大丈夫でしたか?
またどこかの山で、お会いしましょう
コメントありがとうございます。
ラジオを流しながら登ってこられた方ですね?
たしか尾瀬沼に帰るとお聞きしていましたが、大清水に下山したのですね。
明るいうちに無事に下山できましたようで、なによりです!
マイナーな山でのソロテン泊には慣れているので、とても静かで快適でしたよ^^
安心できる山小屋脇のテン場も悪くないですが、人里から離れた山奥の自然の中で一夜を過ごすのもまた格別です。
またどこかでお会いできると良いですね♪
お疲れ様でした!