2015年9月12日~13日、甲州(山梨)武州(埼玉)信州(長野)の三県に跨る標高2475mの百名山、甲武信ケ岳に行って来ました。
数年前の初冬に、長野県側登山口の毛木平から登って以来2度目になります。
前回は好天に恵まれ、甲武信山頂から十文字峠までの稜線歩きがとても気持ち良かったのですが、今回はアクセスが容易な山梨県側「道の駅みとみ」からスタートです。
9月12日(土)
朝9時、埼玉から雁坂トンネルを抜けてすぐにある道の駅みとみに到着。
トンネルに入る直前に気付いたのですが、11月まで通行料が無料とのことでラッキーでした。
天気予報では明日の午後から曇る程度で、久しぶりに天気の良い週末。
山の上の方に雲が掛かっているのが少々気掛かりですが、意気揚々と出発です。
まずは西沢渓谷方向に舗装路を歩きます。
やがて立派なトイレがあり、そのまま直進すると近丸新道の登山口があります。
さらに直進すると、西沢山荘の手前に徳ちゃん新道の登山口を見つけました。
9:30登山道に入ります。
始めはなだらかですが、すぐに急坂になり、しばらくキツイ登りが続きます。
左(西)に延びる支尾根とぶつかった地点から一旦尾根は広くなだらかになります。
地図上に記載のあるシャクナゲのトンネルには、なぜか出会えませんでした。
ネットでしばしば写真を拝見していましたが、刈り払われてしまったのでしょうか。
やがて尾根は細く急になり、11:20近丸新道との合流点に到着。
ここまで出会った登山者は10人足らず。
百名山なのに意外と少ない感じです。
ここで休憩していると、近丸新道から大きなザックを背負った若者が登って来ました。
道の状況を尋ねたら、先日の台風により少し荒れ気味の様子です。
この先も樹林の中の尾根登りが続きます。
段々ガスが出始め、半袖一枚だと少し肌寒くなってきました。
木賊山の山頂に近づいてゆくと、時々木々が開けた展望の良さそうな場所がありますが、ガスで真っ白。
この辺りで、下ってくる多くの日帰り組みとすれ違いました。
疲労と飽きが蓄積してきた13:10、戸渡尾根分岐に到着。
10分ほど進むと木賊山山頂に着きました。
周囲は木々に囲まれており、ベンチで一休みした後、小屋まで下ります。
13:30やっと甲武信小屋に到着しました。
テント場の空き状況に少し不安がありましたが、まだ2~3割程度でガラガラです。
まずはテント場の受付をと小屋に入ると、受付は14:00からでテントは先に張ってよいとのこと。
早速ツェルトの設営に取り掛かりました。
今回の山行の目的の一つは、JUZA(ジュウザ)L&EシェルターDxの試し張りです。
非自立式のツェルト(ストックシェルター)ですが、わずか360gで前室とメッシュパネルを備えた優れモノです。
長期縦走時テント代わりに使えれば、今までの旧式ステラリッジ1型より1.3kgも軽量化でき、ザックの中身もコンパクトになります。
事前に2回公園で練習しておいたので、10分程度で張れました。
ストック2本が、なかなかの剛性を作り出しています。
前後の風には結構強そうです。だけど側面からの風にはちょっと不安。
手頃な長さの木が落ちていたので、内部空間を広げるためにサイドリフターを上方向に引きました。
購入前ネットにクチコミがほとんどなく、情報不足だったので補足しておきます。
・寝室部の長さは210cmあり、身長176cmの私が寝転んで余裕があります。
・横幅は足元はかなり狭いですが、頭部は100cmあり、充分に物が置けます。
・高さは95cmで、前室向きにギリギリあぐらをかけますが、頭は天井に当たります。
・足元向きに座るのはかなり困難ですので、ズボンの履き替え時は寝転びます。
・前面のメッシュパネルは、虫の侵入を完全にシャットアウトしてくれます。
(外には地面を足の長いクモのような虫が歩いていましたが、安心して過ごせました。)
・足元のメッシュパネルのおかげで、外は朝までほぼ無風でしたが蒸れることはありませんでした。
・内部の結露は、足元だけ少し濡れていましたが、他はほとんど発生しませんでした。
(雨が降ったらどうなるか今後の確認事項です)
・色は、ごく普通の緑色です。
・モンベルのULドームシェルターのような透け透け感はありません。
・前室は靴と調理器具がなんとか置けるので、重宝します(欲を言えば、もう少し広ければ・・・)。
・底面6箇所(最低でも足元2箇所)にペグが打てないと、かなりヘロヘロのタルタルになるでしょう。
・最後にテント代わりに使うのであれば、縫い目は防水処理(目止め)必須です。
私は縫い目部の補強も兼ねて、シームレステープを貼りました。
追記:2回目のテスト(光岳&聖岳)では結露が大量に発生しました。
以下の写真は翌朝撮影
話は戻って設営後ラーメンを食べ、テン場(1,000円)の受付を済ませ休んでいると、続々と人が増えました。
小屋前のベンチは大賑わい。
テン泊登山者も夜7時頃まで増え続け、テン場は最終的に8割程度埋まりました。
寝る前に明日の天気予報を聴くと、曇り後雨に変わっています。
明日の雁坂峠までの縦走を取りやめ、戸渡尾根で即下山しようと予定し、眠りに就きました。
9月13日(日)
警戒していた結露ポタポタ攻撃に遭うことなく、予想に反して快眠できました。
寝ている間は普通のテントと変わりません。
但し、ほぼ無風の穏やかな夜だったので、風雨の中眠れるか、検証課題が残りました。
まだ暗い4時頃から、周りの動き出す声や音が聞こえましたが、もう一眠り。
朝6時、天幕の明るさで目が醒めました。
前室を開けて外を眺めると、予想外の晴天にテンションが上がります。
テントは半分以上が旅立っていました。
とりあえず目覚めのホットカフェオレを沸かします。
今回もULTiトレックテーブル持参です。
カップの底面に枯葉などが付かないので、バーナーに載せる前に底面の掃除が不要だし、地を這うクモのような虫がカップに侵入するのも防止できそうです。
またテン場に落ちている平たい板も利用させて頂きました。
そして往復30分の甲武信ケ岳山頂を踏みに出かけます。
手ぶらなので、すぐに着きました。
山頂には多くの登山者が溢れています。
素敵な眺望でした。
金峰山の五丈岩でしょうか。
富士山も見えました。
しばらく景色を楽しんだら、小屋に戻ってテントを撤収します。
撤収作業はテントポールが無い分、普通のテントより少しだけ楽チンです。
いつもテン泊時は45リットルのザックですが、今回はマットをニーモのゾア20Sにしたこともあり、日帰り用のデイバッグに収まりました。
そして7:30小屋から出発。
好天なので、もちろん予定を稜線歩きに戻します。
しかし縦走路に入った途端、雲が寄って来ました。
しばらく下って、サイノ河原に着く頃にはすっかり曇り空。
天気予報の通り、お天気下り坂のようです。
遠く南に見える広瀬湖までまっすぐ下りて行きたい気持ちになりましたが、そんな登山道はないので、東に見える西破風山に向かいます。
かなり下って行くと、鞍部に建つ破風山避難小屋が見えてきました。
なかなか良い立地で、晴れていれば気持ち良さそうです。
内部はとても綺麗でしたが、ここは水場までの道が不明瞭らしく、かなり険しいようです。
外ベンチで少し休んで、西破風山へ登り返します。
途中で振り返ると、木賊山とその右奥に甲武信ケ岳。
岩岩の急坂を30分ほど登り、9:00西破風山に到着。
展望はほとんどありません。
さらに20分ほど進むと東破風山。
ここから道は緩く下って、最後の雁坂嶺まで緩く登ります。
岩も少なく歩きやすい穏やかな稜線です。
10:10雁坂嶺に到着。
とうとう雨が降り出してきました。
雨具を装着し、ザックにカバーをかけて峠まで下ります。
ここから先は一度歩いたことのある道になります。
20分ほど下ると樹林から抜け出し、笹原の下方にベンチのある雁坂峠が見えてきました。
10:30雁坂峠
雁坂峠は、北アルプスの針ノ木峠、南アルプスの三伏峠に並ぶ日本三大峠とされています。
つい最近1998年に雁坂トンネルが開通するまで、埼玉と山梨の直接の往来には、この峠を歩いて越えるしかなかったそうです。
日本最古の峠で、戦国時代には武田信玄が他国侵略のために整備したらしく、歴史のロマンを感じます。
雨は止み明るくなってきたので、雨装備を解き、道の駅みとみまで下山します。
最初は笹原の斜面を九十九折に、やがて樹林に入り、暗い登山道を谷に向かって降りてゆきます。
途中小さな沢を何度か渡ります。
以前歩いた時は晴れていて、木漏れ日の差す心地よい林道でしたが、曇っているとジメジメした陰気な通路に感じます。
丸太3本の橋は、増水時は危険そうです。
12:10やっと沓切沢橋に着きました。
ここから道の駅まで1時間の舗装路歩き。
自転車が欲しくなります。
トンネルの料金所を右手に通り過ぎると、右に下りる道標があります。
下って行くと、久渡沢つり場の橋。
13:00ようやく道の駅みとみに帰って来ました。
今日出会った登山者は、甲武信小屋~雁坂峠で約10名、雁坂峠~みとみで約10名、天候が芳しくないからか、歩いている人は少ない感じです。
何はともあれ、ウルトラライトな軽量化装備ツェルト泊山行テストが無事成功に終わりました!